「もしかして、先約があった?」


私に言ってるはずなのに、翔ちゃんの視線の先には岡崎君がいた。
それに気づいて岡崎君もまっすぐに翔ちゃんを見た。


そういえば昨日翔ちゃんに、あいつ誰?って聞かれて答えられなかったから……気にしてたのかな。


「岡崎君は、関係ないよ?」


間に入っても、なんでかふたりの視線がバチバチに見える。


そっか、岡崎君にとって翔ちゃんは敵。奥寺さんを泣かせた嫌なヤツに変わりはない。


「どうも、岡崎です」

「俺は宮辺。よろしく」


まさか岡崎君が翔ちゃんにケンカふっかけるなんてことないよね?
空気がピリついてる。
そわそわしてしまう。


「今日は俺に美緒譲って」

「別に約束なんかしてないし、好きにしなよ」


シチュエーションだけは『私を取り合うふたり』みたいになってるのは……なぜ。


華世ちゃんは面白がってるのか様子見に徹してる。