「翔ちゃんいるー?」


インターホンを押すけど、反応はない。
まだ帰ってないんだ。
何してるんだろう。


そのまま翔ちゃんちの玄関先でぼんやり空を眺めたら、どんよりした重い雲が空一面を覆い尽くして街を飲み込もうとしているみたいに見えた。



靴を脱いでひっくり返しても、スカートの裾をしぼっても、なんにも意味ないな。
雷の音が、さっきより近くで鳴ってこわくなる。



なんとなくしゃがみこんでしまった。
翔ちゃん、早く帰って来て?