彼との雨宿りはなんだかフワフワ心地よくて、あの子変わってるなぁ、なんて夕暮れの濃いピンク色が差してきた空に少し見とれてしまった。 「美緒」 「はい?」 声に振り返ると大きな傘が目の前にあって そのなかから翔ちゃんが出てきた。 「そんなに濡れてないし、まぁ合格か」 「なんで?」 早退したはずの翔ちゃんがどうしてここに?これはイリュージョンでしょうか。 「遅いから心配した」 たったそれだけの言葉でドキドキが波のように押し寄せる。