翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

帰りつくまでそう距離があるわけでもないのに、やっぱりびっしょびしょに濡れてしまった。


しかも子供のころみたいに楽しくないな。
ふざけてくれる相手もいないし、私も大人になってしまったのかもしれない。


それにしても思ったより寒い。
震えながら自宅の玄関前で、鞄のなかをもそもそ漁った。
鍵はどこだ?


もたもたしている間にも雨が全身を伝って、肌から体の深部へとじわじわ寒さがしみていく。


ヘックシュン!


うぅ、雨に長いこと打たれたせいでさすがに震えが止まらない。
しかも鍵……ない。


ダメ元で玄関をガチャガチャやってみる。
チャイムも鳴らしてみる。
だよね、この時間いつも誰もいないもんね。


遠くの空から雷が迫ってきてる。
雨はいいけど……雷やだな。
耳を塞いで隣の翔ちゃん家へ向かった。