朝家を出るときに玄関先で、実日子さんから翔ちゃんの傘を受け取ってしまった。 午後からまた雨予報だから念のため届けてもらえる?って。 「降っても降らなくてもふたりで仲良く帰っておいで」って無邪気に言われて胸が痛くなった。 返事ができなかった代わりにそれを苦笑いで受け取って、自分の傘と一緒にスクールバッグに入れた。 翔ちゃんきっと看病明けで疲れてるだろうな。授業中寝ちゃうだろうな。 今日は何事もなく終わるといい。 汗ばむほどの陽射しを避けながら足早に学校に向かった。