意識は朦朧としてたけど、たぶん俺はすぐに奥寺をよけたと思う。 気を抜いたら分散してしまいそうな気力を集めて、あいつにだけ聞こえる声量でつぶやいた。 「しゃべんなよ?」 熱があることは、どうせ今のでバレたからまずは口止め。 そしたら奥寺は心配そうな顔で、俺の腕を掴んだ。 その目はたぶん(保健室に行こう)って言ってる。 でも、これは微熱。 そうに決まってるし、そうじゃなきゃ困る。