翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

本屋の軒下でふたりの背中が小さくなるまで見送った。


いいなぁ、相合い傘。
付き合ってると、寄り添う距離はぐっと近くなるのかな?


いいなぁ、あのふたり。
そうだよね、なっちゃんの隣は松野君の特等席なんだよね。


そんな憧れを振り切るみたいに雨のなかへ駆け出した。別に濡れたっていいじゃん。
そんなのわたしの自由でしょ?


ちょっと濡れたくらいで風邪なんかひかないし、靴や制服は洗えばすむ。


もう翔ちゃんには甘えないし、時々口うるさいのもスルーしてやろ。
誰にも迷惑なんかかけない。