「晴美、もしかして、あいつとキスした?」
「え?」

私は突然の質問に思わず動揺してしまう。

「なんか男の匂いがする」
「もう、何でそんなのが分かるのよ…」
「っていう事は、キスしたんだ」

朔太郎はまだまだ子供でモフ男と何ら変わらない。特に私の匂いに関してはモフ男以上かもしれない。
朔太郎は、私をソファに押し倒すと狼のような目でこう言った。

「何だよ、晴美…
あいつなんかとキスしやがって…

…俺があいつの記憶を全部塗り替える」

朔太郎の可愛い顔は険しい大人の男の顔に変化した。
そんな風に変わった時の朔太郎はたちが悪い。

「何も記憶なんか残ってないよ…」

そう言い終わらない内から、朔太郎は私の首元にキスをする。

「あいつとは…
キスだけだよな?」

そんな事を確認しながら、友和さんの煙草のフレーバーのキスの記憶を、全部朔太郎の甘いキスの味に変える。
このキスは幼なじみのキスなんかじゃない。
朔太郎の熱い想いがこもった大人のキス。
私は体の芯がとろけていくのを感じた。幼なじみじゃないキスは、恋人同志のキスだった。そして、極上に甘いキスに私の感情はかき乱される。