溺愛フレグランス



そんな朔太郎をお父さんもお母さんも目を細めて嬉しそうに見ている。
私は余計な事柄を思い出さないように忙しいふりをしながら、自分の食事の準備をし始めた。

「おやすみなさい」

両親にそう声をかけて、私はリビングのドアを閉めた。
モフ男は朔太郎にじゃれついて離れようとしない。

「モフは今日は、私と寝ようね」

普段は両親の寝室で眠るモフ男は、たまに遅い時間まで起きた日は私のベッドで寝かせる。モフ男はちゃんと私の言葉を理解してしっぽを振っていた。

「で? 誰と会ってたの?
あいつとか言うなよな」

私は朔太郎の質問には答えず、テーブルに座りいただきますと言って食事を始める。
朔太郎はモフ男を抱っこしたまま、そんな私の隣に座ってきた。

「なあ?」

モフ男の前足を私の肩に乗せる。

「あいつだったら、マジ、最悪」

モフ男の前足は私の脇腹をくすぐり始める。

「朔、やめてよ~」

私は可笑しくて笑ってしまう。もう、ご飯が食べれない。
モフ男のせいにして知らん顔をする朔太郎は、本当に天真爛漫な男だ。
何歳になっても朔太郎の性格は変わらない。人懐っこくで甘えん坊なそのオーラはいつも私を癒してくれる。