溺愛フレグランス



私は少しの細かい表情も見逃がしたくなかった。
キャンディちゃんの存在自体をあやふやなものにしたくない

「あ、うん、ごめんね、心配かけちゃって。
もう元気だよ。ピョンピョン飛び跳ねてる」
「よかった~」

それは本当の気持ち。
私はやっぱり信じたい。今の友和さんの笑顔に嘘は見当たらないから。

「今度こそ、キャンディも一緒にデートしよう。
その前に僕はモフ男君に好かれる努力が必要だけど」

友和さんは肩をすくめて笑った。その落ち着いた微笑みに私の胸はときめいてしまう。
私はモカの甘い香りの中、友和さんを信じようと思った。
登録者数が多いマッチングアプリの中で、AIが私のために導き出してくれた人。
まずは、その運命の人を朔太郎の独断と偏見で汚すわけにはいかない。

「あ、それとこれ…」

友和さんはそう言ってテーブルに名刺を置いた。

「幼なじみの太田さんっていう人が僕の素性を知りたがってたから。
というより、晴美さんに僕の事をちゃんと分かってもらう事が大切だって、あの後、反省したんだ」

私はその名刺を手に取った。
株式会社 O&B 代表取締役社長 山本友和
私が見る限りでは何も違和感はない。