溺愛フレグランス



朔太郎は私の首元に顔を埋め、優しく抱きしめてくれる。朔太郎の息遣いは狼の息遣いと一緒。私をいつ食べようかとそんな事を考えている男の息遣い。
私は朔太郎のたくましい、でも柔らかい背中を両手で包み込んだ。
この温もりに慣れてしまっている私は、この大好きな温もりに心がほんわか和んでしまう。

「晴美、俺達、付き合おうか?」
「付き合うって? 二人の関係性は、もう付き合ってるのと一緒なのに?」

朔太郎は私の耳元でこう囁いた。

「一緒じゃないよ… 俺達、キスしかしてないだろ?」

私はそんな事を言う朔太郎の顔を自分の前に持ってくる。
そして、整った綺麗な顔を私の両手で包み込み、ゆっくりと首を横に振った。

「朔太郎が…
幼なじみから恋人に変わるなんて、想像がつかない。
私がそういう気持ちになれたなら、考えるよ」
「今は?」

私は更に大きく首を横に振った。
複雑な感情が渦巻いてはいるけれど、でも、それでも朔太郎との関係が幼なじみというぶ厚い殻を割るほど勢いのあるものではない。
今の段階では、だけど…
朔太郎はふて寝をする。そして、思いっきり寝転んで、私のベッドを陣取った。