溺愛フレグランス



私より朔太郎の方がスマホの近くにいる。
ブーブー鳴り続けるスマホを私は無視する事に決めた。無視しなきゃ朔太郎の前で友和さんと話さなきゃならない。
朔太郎はどうするの?と人差し指でスマホを指しながら、私に目配せをしてまた変顔をして見せる。
私は気が緩んで思わず笑ってしまった。その瞬間、朔太郎が電話を取った。

「もしもし?」

え? 何? どういう事??
私は驚きのあまりに声が出ない。
というか、どうすればいいのか全く頭が回らない。

「あ、突然、すみません。
自分は晴美の幼なじみの太田と言います。
今、晴美の家に遊びに来てて、あ、もちろん、今、リビングで晴美の両親と談笑してるとこなんですけど、え? 晴美ですか?
トイレにでも行ったのかな。
実は、今、あなたの話を聞いてたとこなんですよ。
でも、晴美に聞いても、あなたの仕事の事とか、どこで働いてるとか全然知らなくて」

私は慌てて朔太郎からスマホを取り返した。
これ以上、勝手な事を喋らせるわけにはいかない。