溺愛フレグランス



朔太郎は寝転びながら、私に軽くキスをした。

「なあ、今日、そいつとキスとかしてないよな?」

朔太郎はそんなくだらない事を真剣に聞いてくる。
私は朔太郎の鼻をつまんだ。

「友和さんは朔みたいな子供じゃないから、そんな軽はずみな事はしないの。
それに、別にしててもいいじゃない?
もう、二人とも30を過ぎたいい大人なんだから」

朔太郎は私の枕を投げ捨てて、私の体に覆いかぶさってきた。
そして、私の首元にキスをする。

「ヤバイ…
気が狂いそう…
晴美がそいつとエッチするって考えただけで、頭がおかしくなる。
晴美の匂いは俺の物にしたいなんて、今、真剣に考えてる…」
「匂い?
私の匂いが好きなだけだよ、朔は。
私自身を好きなわけじゃない」

朔太郎は私の上に乗ったまま、ゆっくり首を横に振った。

「違うんだ…
晴美の匂いは、晴美の全部。
晴美の全部が好きという事は、俺だって晴美とエッチしたい、いい?」
「バカ」

私は私の上で変な事を考えている朔太郎を押しのけた。

「エッチなんてするわけないじゃない。
幼なじみとはそんな事しないの、いい?」

朔太郎は悲しそうな瞳で私を見ている。
これはモフ男と同じ顔だ。モフ男は私が仕事に行く時にこんな顔をする。

すると、私のスマホが震え出した。
ラインやメールではない通知音に、私はゾッとした。
友和さんからの電話に違いない。

「出ないの?」