溺愛フレグランス



「友和さんのワンコが今日は調子が悪くて来れなかったの…
ううん、それ以前に、モフ男を連れてデートとかいうのが間違ってた。
朔太郎の言う通りだった。本当に本当にごめんね」

朔太郎は、私専用の一人掛けのソファに気持ちよさそうに座っている。でも、私を見る目は優しくない。きっと、間違いなく怒っている。
私はそんな朔太郎と目を合わさないように、ベッドに腰かけた。

「それで? ちゃんと名刺は貰って来た?」

私は朔太郎を見ないまま、首を横に振った。

「どこで働いてるかとか、会社の名前とかは聞けたんだろ?」

私は何も言わず、やっぱり首を横に振る。
一瞬の沈黙の後、朔太郎は座っているソファを力づくで私の目の前に移動した。
そして、向い合わせになった私の足を軽く蹴る。

「もう蹴らないでよ…」

私がやっと声を出してそう言うと、朔太郎は意地悪そうに微笑んだ。

「普通はさ、マッチングアプリだろうと、普通のお見合いだろうと、自分の自己紹介をするのが礼儀だろ?
そういう自己紹介的な話はなかったのか?」

私は覚悟を決めて、朔太郎の顔を見た。
そして、ちゃんと分かってもらえるように丁寧に説明を始める。