私は無理を承知でお願いした。
モフ男にとっては苦痛でしかないこの状況から、早くモフ男を解放してあげたい。
そんな事を考えると、朔太郎の言葉が頭の中を駆け巡る。
私はモフ男に申し訳なくて、涙が出そうになる。
でも、こんな私のわがままを友和さんは嫌な顔もせずに笑顔で応じてくれた。
「分かった、じゃ、晴美さんの家へ向かおう」と。
家までの時間はあっという間だった。
逆方向は車が混んでいなかったせいもあり十分ちょっとで家まで着いた。
でも、着いてからが最悪だった。
だって、たまたま通りを歩いていた朔太郎と出くわしてしまったから。
そして、車から降りた途端、モフ男は朔太郎の存在に気付いてしまう。
朔太郎の元へ走り寄りたいモフ男を、私は必死で抱きかかえた。
ばつが悪い私は、朔太郎を無視して無言で家の中に入った。
そして、朔太郎もそんな私の後を追って家の中に入ってくる。
「晴美、あのいかつい車は何?」
私は朔太郎に飛びつくモフ男を朔太郎に預けて、大きく息を吐いた。
「朔、とにかく後で詳しく説明するから。
今は、友和さんとのデートを何事もなく終わらせてくる。
モフ男は朔太郎の言うようにやっぱり無理だった。だから、連れて帰ってきた。
朔、ごめんね。
夜にちゃんと説明するから」
私はそれだけ言い残すと、外で待っている友和さんのBMWに乗り込んだ。朔太郎の呆れた顔は絶対に目に入れないようにして。



