「晴美さん、早く車に乗って。
長い時間、この場所に停めておけないから」
私は慌ててモフ男を抱っこした。
そして、成犬の芝犬を乗せるには手狭な車内に、皮のシートを汚さないように慎重に乗り込んだ。
私はモフ男を私の膝の上に立たせる。
そして、前向きに抱っこしたり横向きに抱っこしたり、車のシートにモフ男を触らせないように必死だった。
「晴美さん、僕のイメージと違っててびっくりした」
「え? どう違ってたんですか?」
私も同じですとは言えなかった。
前のイメージの方が気楽だったなんて、口が裂けても言えない。
友和さんはバックミラー越しに私の顔をジッと見ている。その事に気付いている私は、何だか落ち着かなくて変な汗が出てくる始末。
「イメージよりすごく可愛らしくて、胸がキュンとした。
やっぱりスマホの画面越しってよく伝わらないんだね」
友和さんは少しだけ後ろに顔を向け、私を見て微笑んだ。
私はそんな友和さんの微笑みを受け止める余裕もない。
だって、モフ男の機嫌が手が付けられないほど悪くなっていたから。
「友和さん、もしよかったら、モフ男を家に連れて帰りたいんですけど…
キャンディちゃんも居ないんだったら、ワンコ連れのデートはまた今度でもいいかなと思って。
車でまた引き返すのってありですか…?」



