「晴美と一緒なら会ってもいいよ」
「会ったら終わりだよ。
だって、向こうは婚活真っ最中で必死だから」
朔太郎は肩をすくめる。
「晴美の職場の環境がそうさせてるのか…
結婚争奪戦みたいな?」
私は朔太郎を睨む。
またその話をする?みたいな怖い顔をして。
「分かった、もう俺は帰る。
今日は天気がいいから、夕方にモフ男を河原まで連れて行く予定。
OK?」
「OKだよ~ 朔、本当にありがとう」
朔太郎のその報告で、私はすっかり機嫌をよくした。
モフ男の幸せは私の幸せ。そして、その幸せは朔太郎によってもたらされている。
「じゃあな」
朔太郎は印鑑証明書の入った市役所の封筒を振り回して、私に手を振った。
私は昔とちっとも変わらない可愛らしい朔太郎に目を細め、気を付けてと微笑んだ。



