溺愛フレグランス



朔太郎と夜のドライブを楽しんだその週の金曜日、私がいつものように仕事に専念していると、また窓口の職員さんが私を呼びに来た。

「安村さん、また例の人がお呼びですよ」

その言葉にそこにいる全員が反応した。
特に、チーフの村井さんは明らかにソワソワしている。

「晴美ちゃん、例の幼なじみかしら?」
「た、多分…
あ、すぐ帰ってきますので」

私はそう返事をして、そそくさと正面玄関の方へ急いだ。
すると、戸籍住民課のカウンターの前の長いすに座って待っている朔太郎が見えた。
それも、フロアの案内係の人と仲良く楽しそうに喋っている。
朔太郎は私を見つけると、よ、晴美!と、また馴れ馴れしく呼び捨てにした。
窓口の人の視線を痛いほど感じる。

「そんなところに座ってたら他のお客様が座れないから、ほら、あっちに行くよ」

私は朔太郎の耳元でそう囁いて、顔見知りの職員さんやパートさんに困った顔で会釈しながら、自動扉の外へ朔太郎を連れ出した。

「もう、今日は何しに来たの?」

私のやるせない顔を見て、朔太郎は苦笑いをする。