溺愛フレグランス



「いいよ」

そんな私のくちびるに朔太郎はもう一度キスをする。

「じゃ、ちょっとだけドライブして帰ろう」

私もそんな朔太郎にすぐ甘えてしまう。
このキスの意味は? 私達の関係性は?
そんな普通の概念は、私達の間には存在しない。
息をするようにキスをして、嬉しいから抱きしめ合う。
恋人でもない、友達でもない私達は、キスの意味を真剣に考えないまま大人になった。
でも、三十二歳の大人の二人にこの幼さが残った関係性は、いつか必ず弊害になる時がくる。

「晴美、海に行こうぜ」

少年のような朔太郎に心が奪われないわけではない。
でも、今の私はマッチングアプリの事で頭がいっぱいで、それに嵌まっている事が楽しくてしょうがなかった。
その延長線上で、友和さんと上手に縁を結びたい。
それが、私の未来へ続く道だと信じているから。