溺愛フレグランス



私は二人の会話を呆れながら聞いていた。
確かに、朔太郎は面倒くさい奴だった。
自分はモテモテで、私達の通っていた高校の隣にあった女子高には、朔太郎のファンクラブがあったくらい。来るもの拒まず、去る者追わず。それが訳の分からない朔太郎のポリシーだった。
スラっとして可愛い顔をしていて人当たりも良くてまさにジャニーズ系のアイドル男は、実は女々しい粘着男だ。私限定なのかもしれないけど。

「朔太郎が彼氏の前で、晴美、今日は一緒に帰るぞ!って、わざと大きな声で言ったんだよね。
あと、後で家に行くから!とか、わざと抱きついてきたり」
「わざとじゃないよ。
俺達からしてみれば、普通の事じゃん」

これは高校の時も言い合った。その時も、今と同じ返答だった。
私は今度こそ大きくため息をつく。

「とにかく、私達は、今はもういい大人なの。
だから、お互いの異性関係には口を出さない事。
ほら、智也の前で約束して。
私は約束する」

そう言って、智也に誓いますと大きな声で言った。
智也はやれやれといった感じで、首を縦に振ってくれた。
朔太郎はそんな私達に目もくれず、ビールの三杯目のおかわりをする。