そんな風に二人で言い合いになっているところに、智也が戻って来た。
険悪なムードに気付き、智也は私を見てわざと目をパチパチする。
「晴美ちゃん、どうした?」
ユラユラ揺れるビニールシートの先に見える智也の顔は、困ったように微笑んでいる。
私はグラスの中の氷をカラカラ揺らし、小さくため息をついた。
「なあ、智也はどう思う?
久しぶりに会った幼なじみがちょっと危うい事になってるとして、お前だったら見てみないふりができる?」
私は朔太郎の言葉にげんなりする。
マッチングアプリに嵌まって楽しんでいる事が、どうして危うい事になるんだろう。
「その危うい事が何かによるけど…
っていうか、朔太郎のいつもの病気が出ただけだろ?
自分が恋愛をする分には自由奔放で、でも、晴美ちゃんが誰かを好きになったり付き合ったりってなったら、異常な程にやきもちを焼く。
高校の時もこんなシチュエーションがなかったっけ?
俺は晴美を心配してるだけなんだ、とか、晴美はあいつに絶対に騙されてるとかさ」
朔太郎は遥か昔の事を思い出し、あ~と納得した。
「でも、あの時だって、結局、すぐに別れたんだよな?
それも、晴美がフラれる形で。
あの男、最初から本気じゃなかったんだ。
俺はそういうの見抜く力があるんだよ」
「それは、晴美ちゃん限定で、だろ?」



