「切羽詰まってちゃ、悪い…?
三十二歳になって何にも出会いがない女性の気持ちを、朔太郎はどれくらい分かってそんな事言ってるの?
この歳で、合理的に確実な相手を選ぶのに、マッチングアプリほど最適なものはないって私は思ってる。
そこで知り合って、恋人関係になって、結婚できればって思ってる。
だから、朔太郎には、それを静かに見守ってほしい。
幼なじみの幸せを願ってくれるのなら…」
私は涙が溢れそうになるのを必死に堪えた。
一人っ子で、車いす生活の父がいて、母も病弱で、そんな三十二歳の女性に素敵な出会いは訪れない。それはここ数年で身をもって感じた事。
ちゃんと色々な事を理解した上で、マッチングアプリに嵌まっている事を分かってほしい。
私は、朔太郎が頼んでくれたハニージンジャーを口の中に含んだ。
ささくれだった私の心を落ち着けるために。
「ほら、すぐそうやって泣くし」
朔太郎は私の横顔をジッと見つめながらそう言った。
「泣いてないよ。
全然、泣いてない」
そんな事を言いながら、また涙が溢れてくるのを必死に堪えた。



