溺愛フレグランス



「何? そいつがさっき言ってた彼氏?
結婚するかも~みたいな事言ってた、あれ?」
「私、そんな事、言ったっけ?」

私は余計な事を喋り出す前に、早く話題を変えたかった。
たかが幼なじみの関係だけど、お互いの結婚となると不思議と機嫌が悪くなるもの。
私自身も体験済みで、その気持ちはよく理解ができる。
私はアボカドサラダと鶏肉のガーリックソテーを美味しそうに食べ始めた。
智也の料理の腕前はかなり本格的だ。二十代の頃、有名なハワイアンのレストランで働いて、本場ハワイにも何度も足を運んで勉強してきた。

「朔太郎も飲んでばかりいないで、ほら食べて。
じゃないと、私が全部食べちゃうよ」

朔太郎の頭の中からさっきの話題が消えてくれる事を願いながら、私は美味しそうに楽しそうに食べた。すると、朔太郎もつられて鶏肉にフォークを刺すと、難しい顔で口に放り込む。

「何か、ヤバイ出会い系サイトとかじゃないよな?」

朔太郎のその言葉に、私は全然ヤバくないのに少しだけ動揺する。
そして、動揺している自分に気付き、この悪循環は、更に私を動揺させまくる。

「そ、そんなんじゃ、絶対にないから…」

こんな時に幼なじみという私の事をよく知っている人間はたちが悪い。
簡単には騙せないし、私の動揺をすぐに見破ってしまう。

「何? 図星?」

朔太郎は天井を仰いだ。

「おい、大丈夫か?」