溺愛フレグランス



「本当、お前らってよく分かんね。
そういうのは恋人同志が言う言葉なの」
「うっせーよ」

朔太郎はそう言うと、砂浜を走り出した。
その向かう先には私がいる。
朔太郎は私を抱き上げて、クルクル回り出した。
このシーンを観て、私はやっとこの日の出来事を思い出した。
あ~、この先はもう観たくない。

「晴美は俺のものだ~~」

朔太郎は私を抱きしめたままバランスを崩し、波打ち際に倒れ込んだ。
もちろん、私も一緒に。
そんな私達に、容赦なく小さな波が打ち寄せる。
智也はカメラがぶれるくらいに、ゲラゲラ笑っている。
里奈ちゃんは心配そうに私と朔太郎を見つめていた。

あの時、二人にこんな未来が待っているなんて想像もしなかったバカバカしくて輝いていた日々。
私は朔太郎とたくさんの時間を過ごしてきた。
子供の時からずっと、友達であって兄弟であって恋人だった。
朔太郎の可愛らしい笑顔は私のものだと、いつも思っていた。

走馬灯のように溢れ出る懐かしい記憶に私は涙が止まらない。