溺愛フレグランス




里奈ちゃんは私と朔太郎を交互に見て笑っている。
そして、智也はカウンターの方からノートパソコンを持ってきた。

「何、めっちゃ怖いんだけど」

朔太郎はそう言いながら、また私の肩を引き寄せる。
智也はそんな二人の姿を見つめながら、クルクルと指先でパソコンをいじり始める。

「一時期、小型用のホームビデオのカメラで何でも映してた時期があっただろ?
朔と晴美ちゃんが恋人同志でもないのにいちゃいちゃしてるのはいつもの事なんだけど、そのいつもの事の中に面白い場面があった」

智也は里奈ちゃんを呼び寄せて自分の隣に座らせた。
四人が横並びに座って、テーブルの中心に置かれたモニターを観る。

「これが俺と里奈からの結婚のお祝いプレゼント。
ちゃんと観といて」

朔太郎はバツが悪そうに私の頬にキスをした。
私はどんな動画が出て来るのか想像もつかない。
智也がクリックすると、あの見慣れた海岸線が映し出された。

「この海…
あの海だよね…?」

朔太郎は頷く代わりに私の肩をきつく抱きしめる。
そのシーンは、智也がカメラを回していた。
多分、四人ともまだ学生で、私はその頃お気に入りだったモスグリーンの大きめのトレーナーを着ている。
実は、そのトレーナーも朔太郎からのプレゼントだった。
いつの誕生日だったかは忘れたけど。