そういえば、智也に全然会っていない。
そして、智也にお礼も言いたかった。あの日、友和さんとカフェで会っていた日、智也があの店で私を見かけて朔太郎に連絡してくれなかったら、私達はどうなっていたか分からない。
あの日を境に、私と朔太郎の未来が大きく動き出した。
「じゃ、その時間までちょっと休憩しよう。
晴美のいい匂いのベッドに横になりたい」
「了解、私はお母さんと買い物に行くから」
朔太郎はガックリと肩を落として、もう一度私にキスをした。
「じゃ、智也の家族に美味しいケーキを買ってきて」
「了解!」
街の景色はもう冬支度を始めている。
この数か月の出来事が私の中を駆け足で通り過ぎていく。
結婚という一つの節目を迎える事は、間違いなく幸せで尊い事。
このふんわりとした空気に包まれた穏やかな時間を大切に過ごしていきたい。
そんな当たり前の事をぼんやりと考えながら、今度は私から朔太郎にキスをした。



