溺愛フレグランス



「由良ちゃん、ありがとうね…
今の人で最後にしようと思ってる。
変な話、あの人の顔も声も勝気な性格も、私の好みに合い過ぎて今は溺れてる状態。
私がね、溺れてるの…
あの人は、どうかは分からない。
そういう類の人間だから」

私は頭がクラクラしてきた。
溺れてる?
そういう類の人間?
世間知らずの私には、理解できない世界だ。

「それと、晴美ちゃんは、何も自分を責める事はないから。
あの人との出会いは、もちろん晴美ちゃんがいたから出会えたけれど、でも、それは必然だと思ってる。
本当に大丈夫よ。
暴力とかそういうのは全くないから」

今日の村井さんは完全に女の顔だった。
職場でいつもピリピリしている性格のきつい村井さんの顔じゃない。
私は小さく頷いて、アイスコーヒーを口に含んだ。
もう色々な意味で刺激が強過ぎて、喉も口の中もカラカラだった。
そこから先は、由良ちゃんと石田さんを中心に話が廻る。
皆が幸せになる方法があればいいのに…と、私は思った。
結婚が決まった者が勝者となってしまうこの流れに私は胸が痛くなる。
その考え自体が、偽善者なのかもしれないけれど。