溺愛フレグランス



お父さんもお母さんも、そんな朔太郎とモフ男の姿に笑いしかでてこない。
泣き腫らした顔の朔太郎と今でもその涙をペロペロ舐めているモフ男の仲睦まじい姿は、このどんよりとした空気感を一瞬で透明にした。

「朔ちゃん、実はね…」

そんな中、お母さんが朔太郎にそう話しかける。

「先日、朔ちゃんのご両親が家にいらしてね、朔ちゃんが晴美ちゃんと結婚したいって言い出して困ってるってお話を伺って…
太田さんご夫妻は本当に困っている様子だった。
朔太郎は離婚をしている人間だからとか言いながら。

でも、私はすごく嬉しかった。
本当はその事をすぐに太田さんご夫妻に伝えたかったんだけど、ほら、お父さんの気持ちもあるじゃない?
だから、私はグッと堪えてお父さんの言葉を待ってたの」
「お、お父さんは何て?」

私は気が焦って、お父さんはそこにいるのにお母さんにそう聞いた。

「それはお父さんに聞いてみて」

お母さんは満面の笑みを浮かべている。
その表情で答えは分かってしまう事を何も気にしていない。
私はお父さんの方を見た。
お父さんは朔太郎から離れないモフ男を「おいで、おいで」と呼んでいる。
朔太郎は緊張したぎこちない動きでモフ男をお父さんの膝に乗せた。