その姿は、幼い頃の朔太郎を思い出させた。
私をおぶって家に帰り着いた朔太郎は、膝からあふれ出る血に驚いて泣く私の横で、悔し涙を流した。
今と同じ、お父さんとお母さんを前にして、必死に泣くのを堪えながら、でも、涙が止まらない。
「おじちゃん、おばちゃん、ごめんなさい…
俺が晴美の傍にいたのに…」
大きな瞳に涙をいっぱい溜めて歯を食いしばって泣く朔太郎の姿は、今でも私達親子の記憶に残っていた。
こんな風に、朔太郎は我が家の思い出には欠かせない。
だからこそ、私達親子は、朔太郎がどんな事をしでかしても嫌いになるはずがない。
だって、三人とも、朔太郎を家族と同じように愛しているのだから。
朔太郎の涙に、私もお父さんもお母さんも釣られて鼻をすすっている。
そう、きっと、これが答え。
朔太郎の事が大好きな私達親子に、朔太郎の離婚歴なんて何も問題ない。
朔太郎が何度もティッシュペーパーをガサガサ取り出すのを見て、モフ男は朔太郎に飛びついた。何か、朔太郎が楽しい遊びを考えついたと勘違いしている。
朔太郎はモフ男に顔をベロベロ舐められて、何だか涙が止まったみたいだった。
モフ男をギュッと抱きしめたまま、大きな声でこう叫んだ。
「晴美と結婚します!
おじちゃん、おばちゃん、許してください」



