「お父さん、お母さん、実は、今から朔太郎が来るの。
二人に大切な話があるみたいで…」
土曜日の午後はいつも必ず家にいる二人に、私は初めて今日の予定を伝えた。
前もって伝える事もできたけれど、でも、生真面目で心配性な二人にあれこれ考えてほしくない。
朔太郎が今から遊びに来る。
土曜日の午後になったらそう伝えると、私と朔太郎は前もって決めていた。
ピンポン。
珍しく、インターホンが鳴った。
いつもの朔太郎はインターホンなど鳴らさずに、こんにちは~と大声を張り上げて入ってくる。
私は、よりにもよってこのタイミングに誰?とちょっと凹みながら玄関へ出た。
「五分前に到着!」
そこにはいつもの笑顔を浮かべた朔太郎が立っていた。
でも、何だか様子が違う。
それは濃紺のスーツに身を包んだ超カッコいい朔太郎だったから。
私はこの期に及んで目がハートになっている。
朔太郎のスーツ姿を見るのは、成人式以来でもう十年以上経っていた。
ジャニーズ系のちょっと幼い顔をしたイケメン君は、三十歳を超えてこういうスーツ姿が抜群に似合う男になっていた。
いつもは無造作に下ろしている髪もワックスで固めて大人っぽい。
今さらながら、私の胸はキュンキュン疼いて痛いくらい。



