「もう、そんな子どもみたいな事言っちゃダメだよ」
朔太郎はそんな真面目な私を見て笑った。
私もそんな朔太郎の笑顔に心が癒される。
友和さんとの問題が上手く解決したのかも分からないけれど、今の私はもうその事に怯えたくない。
朔太郎との未来を見据えて前進するのみだから。
「よし、じゃ、ステーキがいいな。
明日に備えて、栄養をつけとかなきゃだし」
「明日?」
私は今日の事で頭がいっぱいだった。
朔太郎の明日はという言葉にすぐに反応できない。でも、数秒後にはすぐに理解した。
「そっか…
明日が一番大事だもんね…
朔太郎のご両親の件もあるし、楽観的にいたら相当落ち込みそう」
「ダメな事を前提に考えるなよな」
私は笑った。
明日は明日の風が吹く。
とりあえず、今日は無難に終わった事にホッと胸を撫でおろしている。
「私もステーキが食べたい。
美味しい物を食べたら、いい案も浮かびそうだしね」
ここを乗り切れば、私達の結婚は現実味を帯びてくる。
時短営業を余儀なくされている飲食店は、八時にはお店を閉めてしまう。
私は朔太郎の手をそっと握った。
「急がなきゃ、ご飯にありつけなくなる」
私達は早歩きでそのお店に向かった。
そんな些細なひと時に大きな幸せを感じながら。



