曖昧な態度は、友和さんみたいな人間にとっては大好物に違いない。
そして、私は、もう一度、朔太郎を見る。
朔太郎は、怒りの噴火が今にも始まりそうな勢いだ。
そして、友和さんの隣に座る村井さんの顔も嫉妬で歪み切っている。
いつもクールで完璧な村井さんからは想像がつかないほどの醜い顔だった。
村井さんは、もう、完全に友和さんの虜になっている。
それは、私がどうこうする問題じゃない。
村井さんの包容力と力量で、友和さんを自分の物にしてほしい。
我を忘れ恋に溺れる村井さんに、金輪際、関わりたくないし、友和さんの事であれこれ悩みたくもない。
「朔、行こう…」
二人に会釈をして、今度は私が朔太郎の手を取り店を出た。
きっと、友和さんは理解してくれた。そう願うしかなかった。
村井さんの愛情で友和さんをがんじがらめにしてほしい。
そうすれば、お互いハッピーエンドになれるのだから。
「私達も、どこかでご飯食べて帰ろうよ」
私はまだ怒りに震えている朔太郎の腕にしがみついて、甘えながらそう言った。
朔太郎は私を力強く引き寄せると、耳元で「友和、死んでしまえ」と毒づく。



