溺愛フレグランス



そう、朔太郎を励ましながら、自分自身を慰める。

「そっか、そうだよな。
でも、せっかくだから、晴美に付けててほしいし、じゃ、はい、これでどう?」

朔太郎は楽しそうに、私の左手の小指にエンゲージリングを付ける。
光り輝く小さなダイヤモンドが、何だか困ったように私の小指に落ち着いた。

「今だけね…
後で、ちゃんと薬指に入ると思うから…」

私はそんな事をボソッと呟いて、小さくため息をついた。

せっかくのプロポースに起きたこのまさかの出来事は、相手が幼なじみの朔太郎だったから丸く収まった。
もし、そうじゃない普通の人だったら、お互い気まずい雰囲気になっていたに違いない。
いや、気まずい雰囲気だけじゃなく、相手の方は相当落ち込むほどの事をしでかしたわけで、私もかなりの拍子抜けにこの結婚自体を考え直したかもしれない。

それなのに、朔太郎は車から持って来たお菓子を美味しそうに食べている。
どうすればこんな一大事にそんな食欲がわくのか?と考えてみても、それは幼なじみだからしょうがない。
そこが幼なじみの特権なのかも。
こういう失敗も何だか可愛く思えるし、朔太郎の笑顔を見れば何でも許してしまう甘々の自分がいる。