溺愛フレグランス



私は朔太郎の何気ないプレゼントに驚いてしまった。
結婚しようとか、晴美は俺のものだとか、そんな口説き文句は子供の頃からよく聞いていた。でも、朔太郎はあまり贈り物をしない。
一年の中で誕生日だけ。
クリスマスもバレンタインのお礼も、「ハッピークリスマス!」と「チョコ美味しかった~」が朔太郎のお決まりだった。
誕生日には自分の好きな物、もっと分かり易く言えば、自分とお揃いの洋服を私にプレゼントしてくれる。
だから、この指輪のプレゼントには、誰よりも驚いてしまった。

「そんなに目をまん丸にして驚かなくてもいいだろ?」
「だって、朔太郎からのプレゼントって、洋服がほとんどだったから」

朔太郎はちょっとだけ力を込めて指輪を私の薬指に押し込む。

「プロポーズの時に洋服を贈る男なんてこの世に一人もいないと思うし、俺はそんなバカじゃない。
それより、もっと困った事が生じてる…
マジで、ヤバイ…
俺、サイズ、間違えたかも…」

私はその指輪を朔太郎から取り上げて、自分ではめていいものか、一瞬、悩んだ。
でも、そうせずに、朔太郎のしたいようにさせる。
だって、プロポーズの一連の流れは、男の人が主導していくものだから。
だけど、本当に、中々、入らない。
私の薬指はどんどん痛くなってくる。