朔太郎は子供のような声でそう言った。
私達は肩を寄せ合ってその瞬間を心に刻んだ。
洞窟のフレームのちょうど中心で、朝日がじわじわと顔を出す。空が青色に変わる様に海の色も真っ青に変わる。
太陽の光は半円から丸に変わり、私達の周りを黄金色に照らし出す。
息をするのがやっとだった。
あまりの美しさに涙がボロボロとあふれ出す。
そして、隣に座る朔太郎は大きく深呼吸をした。
この唯一無二の空気感は、この先、体感する事はできないはずだから。
夜の闇に包まれていた洞窟の中は、もう完全に朝の世界に変わった。
薄暗い洞窟の奥に座っている私達は、瞬きをする事を忘れている。
二人の目に映る水平線から昇り終えた朝日は、神様が仕組んだ究極の奇跡にしか思えなかった。その眩い光は、ごつごつした岩のフレームを黄金色に変えていく。
私の涙は止む事を知らない。
朔太郎はそんな私に短いキスをした。
そして、上着のポケットから何かを取り出す。
私は外の輝きに目を奪われ、そんな朔太郎の変化も気付かなかった。
「晴美、俺と結婚してください…
ずっと俺のそばにいて… 俺もずっと晴美のそばにいるから」



