溺愛フレグランス



「頭は? もう痛くない?」

私達のいる洞窟の中は、小さな電池式のランプの明かりでぼんやりと輝いている。
朔太郎は心配そうに私にミネラルウォーターを渡した。
私の肩にブランケットを掛けて、寒くないようにしっかりと抱きしめながら。

「ありがとう… もう大丈夫だよ。
薬が効いてきたみたい。
朔こそ大丈夫?
私、重かったでしょ?」

私は、私をおんぶしながら砂浜を歩いてきた朔太郎の事が急に愛おしくなった。
砂が足にまとわりついて歩きづらかったはずなのに、私の事を先に心配してくれる朔太郎は、本当にたくましくて優しい人だ。

「全然、大丈夫だよ…
晴美に関しては、どういう状況であっても俺は晴美を見捨てないし、嫌な思いは絶対にさせない。
もう、そういう風に脳にインプットされてるんだ。
だから、逆に言えば、晴美が辛そうにしていると、俺はその倍苦しいって事。
この関係性は幼なじみからバージョンアップした事で、俺の保護本能はより一層研ぎ澄まされて手に負えない感じだよ。
晴美が死んだら、俺はその一秒後には死ぬって事かな」