溺愛フレグランス



「具合が悪いのか?」

でも、私はこんなに張り切っている朔太郎を傷つけたくない。
今日、もしかしたら素晴らしい朝日を拝む事ができるのに、具合が悪いから行けないなんて絶対に言いたくなかった。

「大丈夫だよ。寝起きだから頭が回らないだけ」
「本当に?」
「…うん、大丈夫だから」

朔太郎は手に持っていたブランケットを私に掛けると、私の肩を抱え込むように歩き出した。

「砂浜の上を歩くから、夜はちょっときついかもしれない。
きつくなったら、ちゃんと言うんだぞ」

私は小さく頷いて、朔太郎の負担にならないように必死に歩いた。
でも、歩いて五分もたたない内に、頭が割れるように痛み出す。

「朔… ごめん…
ちょっと薬飲んでいい…?」

朔太郎は懐中電灯で砂浜を照らし座れるサイズの流木を探した。そして、そこに私を座らせる。
私は常備薬の鎮痛剤をバッグから取り出し、朔太郎から差し出された水でその薬を胃の中に流し込む。