「朔…、起きて」
さっき私を起こしたはずの男は、もう隣でスヤスヤ寝ている。
私は朔太郎の肩をトントンと叩く。ピクリともしない朔太郎に、今度はカエルの目覚まし時計を耳元に置いた。三十秒後に合わせて。
ゲロゲロ… ゲロゲロ…
改めてこの鳴き声を聞いてみると、かなりの大音量だ。
本物の数匹のカエルがそこで叫んでいるみたい。
朔太郎はむくっと起き上がった。そして、その目覚まし時計を叩いて音を止めた。
「マジでうるさい…」
確かにうるさかった。
完全に二日酔いの二人には、頭の奥まで響いてくるほど。
「晴美、起きてる?」
朔太郎はそんな事を聞きながら、隣に座る私の膝にまた寝転んでくる。
私はそんな朔太郎をベッドの上に戻し、私も隣に寝転んだ。
小さな窓から見える外の様子はまだ真っ暗で、さっきまで見えていた月も今はどこにもいない。
あ~、このまま、またウトウトと眠ってしまいそう。
私は、もう一度、重くてだるい体を必死に起こした。
そして、朔太郎の頬を軽くつねる。
「朔、どうするの?
行くの、行かないの?
行かないんだったら、もう少し寝たい…」
私の後ろ向きの言葉に朔太郎はむくっと起き上がり、大げさに目をパチリと開けた。
「行くよ、行くに決まってるだろ。
五分後には出るから、準備して」



