溺愛フレグランス



私は朔太郎の肩越しにカエルの目覚まし時計を見る。
もう、夜中の一時をさしている。
私が何も言わずに黙っていると、朔太郎はゆっくりと歩き始めた。
ソファからそんなに離れていないベッドルームは、二人が寝転ぶにはちょうどいいサイズだ。
完全に酔っぱらっている私達は、また何かに大笑いしながらキスを始める。
朔太郎のキスの甘い香りは、アルコールを含んでいるせいで、あっという間に気持ちが良くなる。

「晴美の匂いだけで、俺、天に昇りそう…
今日は、最高にいい匂い…
上手く表現できないけど…」

息も絶え絶えでそんな事を言う朔太郎は、きっと、前世はワンコだったに違いない。
狭いベッドルームには可愛らしい小さな窓が付いている。
何気なくその窓を見てみると、そこに満月が浮かんでいた。
朔太郎のぬるい息遣いが私を高みに押し上げる。

女性にとって本当の幸せとは何か?
由良ちゃんに唐突にそう聞かれた時に、私は何も答えが出てこなかった。
私が困ったように肩をすくめると、由良ちゃんは得意げにこう答えた。

「愛する人に死ぬまで抱いてもらうことですよ。
年を取っても女性として愛してもらえること」