「朔…
あの約束、今、思い出した…」
朔太郎は、左側だけの口角を上げて微笑む。
「実は、俺も、この間、思い出した」
私は可笑しくてクスっと笑った。
だって、そっちの方が朔太郎らしいから。
「でも、思い出してしまったからには、二人でその朝日を見たいって思った。
晴美、頼むから、崇高な朝日を見る時は、その変な色のサングラスは取るんだぞ」
朔太郎がこんなにディスるという事は、私のこのサングラスが気に入っているに違いない。
私はただ微笑むだけにした。へそ曲がりな朔太郎の事もよく知っているから。
高速を下りて一般道路を走り出すと、真っ青な海が見えてきた。
東京湾とは違う外海の景色は、十年前の若かったあの頃の記憶を鮮明な状態で呼び起こす。
私と朔太郎は、その頃の楽しかった出来事を延々と話した。
こんな時、幼なじみって本当に楽しいと思う。
だって、ほとんどの思い出を共有している。小学校、中学校、高校と、私達の話は永遠と終わる事がない。



