私は益々訳が分からない。
あんないわくつきの怖い人を好きになるなんて。
それも超几帳面な村井さんが…

「晴美さん、良かったですね。
これであの人の心配はなくなったので。
それより、また、村井さんのいばらの道の恋愛が始まりそうですよ。
村井さんの恋、今度こそ成就すればいいんですけど。
これが、きっと、村井さんの最後の本気の恋になりそう。
村井さんも、もう、いい歳ですから」
「ダメだよ~ 友和さんは嘘つきで怖い人なんだから」

由良ちゃんは苦笑いを浮かべ、右手の人差し指をゆっくり横に振る。

「しょうがないんです。
嘘つきで怖くてクズな男性が、村井さんのタイプなんですから」

私は開いた口が塞がらない。
でも、由良ちゃんがそう言うのならそれでいいのかもしれない。
私にとってスーパーヒロインの由良ちゃんは、もしかしたら、あの怖くてとっつきにくい村井さんの心も掴んでいるのかも。
そう考えると、やっぱり、由良ちゃんは凄すぎる。
そして、村井さんの可愛らしい一面も垣間見た気がした。
仕事ができて綺麗で完璧な村井さんに、唯一、人間味のある秘密の一面がある事を。
友和さんがどれくらいクズな人間かは知らないけれど、もし、村井さんと恋をするならば、改心して素敵な男性になってほしい。