溺愛フレグランス



「一つだけ教えてあげる。
それは、今の私は、朔太郎の知ってる晴美じゃないってこと。
安村晴美はこう見えても結構モテるんです。
だから、朔太郎は余計な心配はしなくていいからね」

私はそう言って、今度は私の方から朔太郎の腕を組んだ。
いい意味で、子供の時からスキンシップは日常だった二人。
だって、私のファーストキスの相手は朔太郎で、朔太郎のファーストキスの相手は私だった。何だか不思議な縁で結ばれている私達は、ある意味、尊い関係性なのかもしれない。
きっと、前世は兄弟だった? 
それくらい、滑らかな空気のような居心地のいい存在だった。

そんな私と朔太郎は、いちゃつきながら智也のお店に入った。
いつものカウンター席に着くと、目の前にヒラヒラとビニールシートが揺れている。

「世間はソーシャルディスタンスって騒いでるのに、二人は相変わらず仲がいいな~
晴美ちゃん、久しぶり。元気にしてた?」

智也は顎ひげを伸ばして、ちょっと怖いお兄さんみたいに見える。
私はそんないかつい顎ひげについては触れず、智也の可愛い子供達の話を振った。

「智也の可愛いお子ちゃん達は、もういくつになった?」
「上の男の子はもう小学一年生だよ」
「え~~ もうそんなに大きくなったの~?」