溺愛フレグランス



私はさっき食べた物を吐き出しそうなほどの恐怖を感じた。
由良ちゃんに今までの経緯を説明したいけれど、そんな時間の余裕なんてない。
私が声も出せずに固まっていると、由良ちゃんの方からこう聞いてきた。

「何かトラブルでもあったんですか?
こんな職場まで来るなんて尋常じゃないから」

私は怖くて頷くしかできない。
思考回路が破綻して、眼帯で片目が隠れているせいか視界までぼやけてきた。

「どうします? 今日は居ないって言っちゃいますか?」
「で、でも…」

友和さんの事だから、私が今日出勤している事は確実に調べ上げている。
だから、安易に嘘をつく事は絶対にしちゃいけない。

「多分、今日、ここに居る事を知ってる…
あ~、由良ちゃん、どうしよう…
あの人、ちょっと怖い人なの」

由良ちゃんは姿勢を正し何かを考えているようだった。
元々頭が良くてとんちがきく由良ちゃんに、何かいいアイディアが浮かんでほしい。

「晴美さん、何をそんなに怯えているのか、簡単に説明してください」