溺愛フレグランス



もうすぐ私達の育った街並みが見えてくる。
生まれた時から見慣れたこの風景は、私達が歳を重ねるごとに少しずつ様子を変えてきた。
私は流れいく景色をぼんやりと眺め、そして、隣にいる朔太郎をじっくりと見つめる。
子供の頃から仲良しだった朔太郎との結婚は、やっぱり、どう考えても現実味を帯びない。

「朔太郎は楽しそうだけど、うちのお父さんは、きっと、反対すると思う」
「うそだ! 何で?」

私は気の毒そうに朔太郎を見つめる。

「だって、朔太郎ってバツイチだよ。
いくら朔太郎の事が大好きなうちのお父さんだって、大事な大事な一人娘をバツイチの人にお嫁にはやらないよ。
幼なじみと結婚相手は違うんだから」

あまりにも浮かれている朔太郎に、ちょっとだけお灸をすえる事にした。
というより、私だって、お父さんとお母さんが二人の結婚にどう反応するのか全く分からない。
だから、こういうケースも大いにあり得ると思う。