溺愛フレグランス



朔太郎の楽しいムードは、私の口から出た友和さんというワードによって一気にしらけたようだった。
私を見つめていた視線は、今は真っ直ぐと外の景色に向いている。
運転中なのだから当たり前なのだけれど…

「もう、晴美があいつに会う事はないから。
忘れて大丈夫だよ」
「え、でも、次に会おうって…」
「次はないから心配すんな」

朔太郎は友和さんの素性を知っている。どういう風にしてその情報を手に入れたのか、パソコンに疎い私にはさっぱり見当もつかない。

「友和さんって、そんなに悪い人なの…?」

朔太郎は私の質問には答えずに、オーディオのボリュームを少しだけ上げた。

「晴美がそれを知ったところで何のプラスにもならないよ。
それに、もうあいつと関わりたくないだろ?」

そう聞かれれば、私は頷くしかない。
あんな恐怖を体験した直後の今、関わりたいなんてこれっぽっちも思うはずがない。

「じゃ、あいつの話はもう終わり。
俺達が話すべき事柄は、結婚についてだけだよ。
おじちゃんやおばちゃん、びっくりするだろうな」