溺愛フレグランス



「朔太郎…
もう、家に帰りたい…」

一つだけ救いがあるというのなら、それはこんな人生最大のドツボの日に、隣に朔太郎が居てくれた事。
ひょうひょうといつもと何も変わらないマイペースな朔太郎は、ジャニーズにも負けない最強の笑顔で私を癒してくれる。
こんな時、朔太郎は私だけのスーパーマンだと思ってしまう。

「眼帯をした女性って珍しいんだな。
だって、ほら、皆が振り返って見てる」

そんな意地悪な言葉も今日は許してあげる。
今日こそ、朔太郎を頼もしく思った事はないから。

オンボロのベンチは、思いのほか、居心地が良かった。
程よい陽ざしが優しく私達を包み込み、さっき起こった恐怖の出来事を忘れさせてくれる。
私は疲れのせいか目が霞んできた。朔太郎の肩にそっと寄りかかる。

朔太郎はそんな私を優しく抱きしめ、誰も見ていない事を確かめるとくちびるに軽くキスをする。
晴美は俺のものだと、男くさい印をつけながら。