溺愛フレグランス



私は唖然とした。
だって、今の私の結婚に対する条件とほとんど一緒だから。
マッチングアプリによっては、確実に好みに合う相手をAIが探し出すため、細かくタイプや条件を聞きたがる。
私は中学生の頃の自分が愛おしかった。こんなにも好みが変わらずに成長してしまった自分が健気過ぎて泣けてくる。
私が感極まっていると、朔太郎が私の顔を覗き込んで来た。

「もしや、今も変わらないの~なんて、言うなよな。
そんな細かい事言ってたら、一生結婚できないぞ」

私は目の前にある朔太郎の顔を優しく両手で包み込む。

「そんな心配はしなくても大丈夫。
そんな遠くない未来に、私は結婚する予定だから」

マッチングアプリに導かれて…
なんて、そこまでは言えないけれど。
颯爽と車を降りる私を、朔太郎は怪訝そうな顔で見ている。
そして、私の腕を掴み、意地悪そうな笑みを浮かべて私を自分の方へ向かせた。

「晴美に恋人がいるって、俺は何も聞いてないけど。
だって、おばちゃんもおじちゃんも、晴美に男っ気がないって嘆いてたし。
じゃ、今の晴美の言いかたじゃ、結婚を考えている相手がいるって事か?」

私は無垢な女の子のように分からないふりをする。
だって、それは神様しか知らない壮大なストーリーだから。