溺愛フレグランス




友和さんは店員さんからお釣りをもらったりしているので、すぐには立ち上がれない。私は無我夢中で店の外に飛び出した。でも、友和さんは、必ず私の後を追ってくる。それがが怖くて、何一つ安心できない。

「晴美、どうした?」

店から飛び出した私の腕を掴む人がいた。私がその声の方に目をやると、そこには朔太郎が立っていた。私の涙腺は一瞬で崩壊しそうになる。

「朔、逃げなきゃ…
友和さんが追ってくるよ…」
「智也から聞いた。
何か嫌な予感がしてちょっと来てみたんだ」
「いいから、早く」

怖い思いをするのは私一人でいい。
駅前の広場に面したこの界隈は、隠れる場所なんて一つもないほど見通しがよかった。
私は朔太郎の手を取り、駅に向かって走り出そうとする。でも、朔太郎は動かない。

「俺がちゃんと話をするから、晴美は先に帰ってて」
「無理だよ…」
「何で?」
「だって、あの人まともじゃない…」

朔太郎は肩をすくめた。
そんなの初めから俺は分かってたよって、切ない目で私を見て。
すると、朔太郎の視線が何かをロックオンした。
私は怖くてその方向を向けない。

「晴美ちゃん? その人誰?」