溺愛フレグランス



私は、その変化にやっぱり恐怖を感じてしまう。
多分、友和さんは単純で分かり易い人ではない。それは鈍感な私でも分かった。ちょっと遅いのかもしれないけれど…
そして、友和さんの表情の変化に私の中のトラウマが目を覚ます。そのせいなのか、目の傷までズキズキと痛み出した。
しばらくの沈黙の後、友和さんは面倒くさそうにフッフッと笑った。
私にその笑いの意味は分からない。だから、私も釣られて苦笑いをした。

私が店に入ってから一時間近く経ったのだろうか。いつの間にかお客の数は半分ほどに減っていた。
すると、コーヒーを一気に飲み干した友和さんがやっと口を開く。

「僕は晴美ちゃんの事は何でも知ってるんだ」

友和さんのその声色に私は指先が凍り付いた。
ミルクティのカップを持つ指が震え出す。

「何でもって…
サイト内での情報の事ですか?」

そうであってほしい、というか、そうじゃないとおかしい。

「晴美ちゃんは勘がいいのか、それともけしかけてる人間が側にいるのか、僕の魅力に中々ひれ伏してくれないんだね」
「え?」

友和さんの骨太の指が私の頬をかすめた。
そのしなやかな余裕に満ちた行動に、私の体はバッテリーの切れたロボットみたいに固まってしまう。