逆に心を持っていかれている。
一昨日の手術代の支払いも軽く拒否された。そして、友和さんの知り合いの病院で検査をする事も、何となく日程が決まってしまった。
友和さんって、本当は悪い人じゃないのかもしれない。
最初に感じたインスピレーションはあながち間違っていない。
インスピレーションや第一印象って、すごく大事だと思うから。
「あれ、晴美ちゃん?
え? どうしたの? その目」
私の席はカフェの正面玄関がよく見える。ということは、カフェに入ってきた人にも私がよく見えている。
そして、そんな私を見つけたのは夫婦でコーヒーを買いに来た智也だった。
遠くから手を振ってくれるだけでいいのに、智也はわざわざ私の近くまでやってきた。
そして、私から目のケガの説明を聞きつつ、友和さんをさりげなく観察している。
「びっくりしたよ…
で、あれはその事を知ってるのかな?」
あれ?
智也の言いたい事は一秒で分かった。
朔太郎は知ってるのか? 目のケガを? そしてこの男の人を?
私は困ったように智也に目配せをする。
この場で朔太郎の名前を出したくないし、智也からもその名前を聞きたくなかった。



